レビュー

【書評】百田尚樹の原作小説「フォルトゥナの瞳」の内容紹介と感想

フォルトゥナの瞳の本

「死」を目前にした人が見えるとしたら、あなたはどうしますか?

「そんなことはありえないから考えない。」

こういう人がほとんどかもしれません。

先日、小説「フォルトゥナの瞳」を読み終えました。

作者は百田尚樹。数々のヒット作を生み出している有名な小説家です。

第二次世界大戦をテーマにした「永遠の0」原作小説映画大ヒット。

その後の著作である「海賊と呼ばれた男」も400万部以上発刊される大ベストセラーとなりました。

「フォルトゥナの瞳」はそんなヒットメーカーが作った小説です。

今回読んだ「フォルトゥナの瞳」のジャンルは

SF・恋愛小説です。

死ぬ直前の人が透けて見えてしまう「フォルトゥナの瞳」を持った青年が主人公。

人の運命に関わることができる立場に葛藤しながらも、苦悩を乗り越えていきます。

死ぬ運命にあった女性の運命にも関わり、その後恋愛に発展するのですが・・・

奇特な瞳に翻弄される青年の生涯を見ることができる小説です。

2019年に映画公開されました。

映画『フォルトゥナの瞳』公式サイト

映画の予告動画です。

www.youtube.com

「死」を目前にした人が見えるとしたら、あなたはどうしますか?

それでは内容紹介と感想レビューです。

「フォルトゥナの瞳」の内容紹介

ネタバレ級の読めばわかる小説のあらすじ

自動車のコーティングの仕事に打ち込んでいた青年・木山慎一郎。

ある日、人の身体が透けているという奇妙な場面に出くわす。

疲労からくる幻覚あるいは何かのマジックかと思っていたが、自分以外の人にはそのように見えていないようだ。

身体の一部の透明さは一層際立ち、不気味に思う慎一郎。

なぜ透けて見えるのか。

疑問を確かめるべく、慎一郎は透けた人間の後を追った。

そこで目の当たりにした光景は事故の被害にあったところだった。

死ぬ直前の人間が透けて見える。

フォルトゥナの瞳と呼ばれる能力を持ってしまい、彼は苦悩する。

なぜなら、死という運命を変えることができるようになったからだ。

その正義感の強さは何人かの人の死を回避する行動に導く。

そ彼と同じ瞳を持つ医者・黒川と出会うが、黒川は人の運命に関わるなと忠告をする。

理由は人の死を回避する行動は自分の身体を蝕むことになるからだ。

慎一郎はそのことに気づいていながら、1人の女性の死の運命から解放する。

ヒロインの桐生葵。

「気まぐれで助けた1人の女性」

そう言う慎一郎であったが、葵に惹かれていることに気づく。

過去の恋愛の失敗を繰り返したくない思いもあって、葵に告白する。

慎一郎の思いは無事に葵に届いた。

「運命は些細なことで変わり、変えることもできる。」

そのことに気づいた慎一郎は葵との将来を思い描くのだが・・・

フォルトゥナの瞳は彼に重要な選択を突きつける。

死に向かう運命の人を見過ごして葵との生活を取るのか。

慎一郎は葛藤して決断する。

奇特な瞳に翻弄された1人の青年の選択とは。

ネタバレありの読んだ感想

濁してはおりますが多くのネタバレを含んでおります。

「人の死ぬ直前が見える」という不思議な能力を持ってしまったがために苦悩する慎一郎ですが、苦悩して葛藤する姿が生々しく表現されています。

「死ぬ運命を変えることができるなら、その運命を変えていきたい。」

赤の他人の死ぬ運命を正義感から変えていくだけだったら、ただのSF作品になったでしょう。

しかし、この小説は違いました。

  • 人の運命に関わると自分が犠牲になること。
  • 自分が運命を変えた女性を好きになること。
  • 好きな女性と過ごす生活と死に向かう人を見過ごすことを天秤にかけること。

この3つが彼の苦悩と葛藤の原因になるのですが、それが緻密に描かれています。

人の死が見えるフォルトゥナの瞳を持つことで彼は苦悩するわけですが、その瞳がなければ葵と出会うきっかけも好きになることもなかったのです。

葵との将来を思い描くことも当然なかったわけです。

「運命を変えると、自分に反動が来る。人の運命に関わるな」

そう忠告した黒川が犠牲になったことで、慎一郎は自分の未来も長くはないかと思い始めます。

「それなら、自分は他人の運命を変えたい。」

葵との今後の未来を捨て、瞳を持った運命に思い悩みながらも最後は自己犠牲の精神を貫きます。

愛する女性か多くの命か。

どちらを選んでも、誰に責められるわけでもないことを悩む姿は印象的で、この小説の最大の見せ場といえるでしょう。

作中に「他人の死ぬ運命がわかったらどうするのか。」と慎一郎が問う場面があります。

問われた人物は「そんなの知りたくない。友人や大切な人が死ぬのを前もって知るのは絶対に嫌だ」と答えます。

悪い人でない普通の人であれば、そう思うでしょう。私もそうです。

「ありえない能力を持ったらどうする?」

この根本がこの作品を面白くしていると感じました。

そんなありえない能力を持った慎一郎が主体で進んでいくのですが、悩んでいるのは慎一郎だけではなかったんですね。

苦悩していた人物に気づいて読み返したとき、心が震えました。

そこに気づいた時、作品の面白さと描写の細やかさに驚愕します。

ぜひ読んでもらいたい作品です。

他にも書評しております。

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普通のアラサーで2児(双子)のパパ。 毎日レベルアップするための記事を書いてます。 書評や映画レビュー、育児などの体験記。 良いものはドンドン紹介していく雑記ブロガーってやつです。